口呼吸で姿勢が悪い
「口で呼吸をすることが、どうしてそんなに悪いの?」
そんな風に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、口呼吸は、口腔周りの機能を低下させるだけではなく、姿勢の歪みや免疫力の低下など、全身の健康にも影響を及ぼすことが知られるようになってきました。
当院では、患者さまの将来にわたる健康を維持するために、早い段階からの口呼吸の改善、正常な口腔機能の育成に力を入れています。
口呼吸による弊害
常に口で呼吸をしていると、さまざまな弊害をもたらします。
歯並びが悪くなり、場合によってはお顔の歪みまで生じてしまう。
歯の位置は、唇や頬の筋肉(外側からの力)と舌の圧力(内側からの力)のバランスによって決まります。
口呼吸でたえず口を開けていると、舌を正しい位置に収めることができなかったり、唇まわりや頬の筋肉などを正常な状態で使えなかったりして、口周りの筋肉のバランスが崩れてしまいます。
その結果、出っ歯、開咬などといった不正咬合を引き起こしてしまうことになります。
食べものを上手に食べることができない。くちゃくちゃと音を食べてものを食べる
歯並びが悪くなると、歯の噛み合わせも悪くなってしまうので、食べものを噛み切り、すりつぶすといった「咀嚼機能」が低下してしまいます。
その結果、ほとんど噛まずに食べものを飲み込むことになり、胃腸にも負担をかけてしまうことになります。
また、お口周りの筋肉が衰えることで口を閉じた状態で咀嚼することができなくなるため、くちゃくちゃと音を食べて食べるようになったり、よく食べこぼすようになってしまいます。
睡眠の質を下げる
寝ている時に口で呼吸をしていると、いびきをかきやすくなってしまいます。
また、常にいびきをかいている状態が続くと、周りの人に迷惑をかけてしまうことはもちろん、場合によっては睡眠時無呼吸症候群といった命に係わる病気になってしまうこともありますので注意が必要です。
歯周病になりやすい
口が常に開いている状態だと、口の中が乾燥しやすくなってしまいます。
通常、口の中は常に唾液によって潤っている状態のため、唾液による洗浄・殺菌効果によって菌や汚れが付きにくくなっていますが、口呼吸によって乾燥した状態になってしまうと、この唾液の効果が働かなくなり、お口のなかに菌や汚れが溜まりやすくなります。
そうすると当然、歯ぐきに炎症が起こったり、歯周病になりやすくなってしまいます。
口呼吸による弊害は、ほとんどが「お口周りの筋肉が弱い」ことによって引き起こされるものです。
お子さまのお口周りの筋肉がしっかりと発達しているかどうかはなかなか解りにくいかもしれませんが、目安として下記の症状がある場合はお口周りの筋肉が弱い可能性もありますので、まずは一度ご相談下さい。
このような症状ございませんか?
●猫背で首が前傾
●舌足らずな発音(歯間音化構音)
●クチャクチャを音を立てて咀嚼する
●一度にたくさん頬張る
●クチャクチャを音を立てて咀嚼する
●流し込むように飲み込む
●固い食べ物を嫌う
●飲み物を取らないで食事をする
●濃い味を好む
●咀嚼回数が少ない
●口蓋が狭く深い
●錠剤を飲み込むことが苦手
●嘔吐反射が非常に弱い
●鼻だけで息をすることが苦手
口呼吸になってしまう主な理由
近年、口呼吸をしている人がとても増えていると言われています。
口呼吸になってしまう理由はさまざまあるのですが、特に多い理由としては下記のような理由が挙げられます。
口を閉じるのが難しい
歯並びが悪かったり、お口周りの筋肉がしっかりと発達していなかったりすると、リラックスした時に口がポカンと空いた状態になってしまいます。
特に「開咬」や「出っ歯」といった不正咬合の場合は、無理に閉じようとすると顎に梅干ジワが出来てしまったりするので、悩まれている方も多いですね。
そのような場合は、子どもの頃に適切な矯正治療を受けることで、大人になってからコンプレックスを抱えなくても済むようになります。
また、加工食品や、柔らかいものばかりを食べていると、お口周りの筋肉がきちんと発育できなくなるため、口呼吸になりやすくなります。
その場合は、食材の選び方や調理の仕方を工夫するとともに、意識的にトレーニングを行うことで、お口周りの筋肉を強化することができます。
鼻詰まりや鼻炎などで、鼻で呼吸することができない
常に鼻が埋まっている状態だと、鼻で息をすることが苦しくなってくるため、どうしても口呼吸になってしまいます。
鼻が詰まる原因としては、アレルギーにより鼻の粘膜が腫れてしまうという事もありますが、そもそも骨格的に鼻腔が狭い状態になってしまっている場合もあります。
骨格的に鼻腔が狭いために鼻詰まりや鼻炎が起きやすくなっている場合は、耳鼻科でステロイドなどの薬を処方されても、一時的な対処療法にしかなりません。むしろ、長期間使用することにより、副作用のリスクが大きくなってしまいます。
そのようなケースに関しては、鼻腔を広げるための骨格的な根本改善が必要となります。
当院では、顎顔面矯正により骨格を改善し、鼻腔を広げる治療を行っております。
お口周りの筋肉を強化する、口腔筋機能訓練
口腔筋機能訓練とは、お口周りの筋肉のバランスを整え、以降の発育を正常にするためのトレーニングです。
お口周りの筋肉のバランスを整えることにより、バランスのとれたお顔立ちとキレイな歯並びを作ることが期待できます。
当院では通常、ハイラックス装置を使用した顎顔面矯正と合わせて行っていますが、ご自宅でも簡単にできるトレーニングですので、癖が気になる場合はトレーニングだけを行っても良いでしょう。
「くちゃくちゃ食べ」や「食べこぼし」などは、決してお行儀のよいものではありません。
将来、キレイに食事ができるようにするためにも、子供のうちから意識的にトレーニングすることをおススメ致します。
骨格を改善する、顎顔面矯正治療「顎顔面矯正」とは?
顎顔面矯正とは、ただ歯をキレイに並べるというよりも、むしろ歯並びを悪くしている原因である「骨格的異常」や「機能的異常」を改善し、正常な成長発育の軌道へ導くという治療法です。
当院では、「急速拡大装置(ハイラックス)」という装置を使用して治療を行っております。
ハイラックスは、上顎骨(鼻上顎複合体)の成長を促進させることができるため、鼻の通りが良くなり、鼻アレルギーや喘息(気道が狭い状態)の緩和、といった効果もあります。
通常は、子どもの矯正で使用される器具ですが、当院では成人矯正の場合にもハイラックスを活用しております。
数値化できない機能の改善に着目
一般的な矯正治療では、規格レントゲン撮影により計測できる項目を診査・診断し、治療方針を決定した上で、治療の評価・判断がされています。
当院では「数値化できない部分も含めた機能の改善」に着目することで、本来の成長を予測しながら治療方針を決定します。
とくに鼻腔通気度検査は、その日の機能を数字で表す事が出来るので、発育期のお子さんの具体的な顎顔面の発育評価に有効です。
これにより早期治療による合理的且つ患者さんにやさしい治療が可能になり、治療後の保定装置が必要ない長期安定が期待できます。
スパイロメーター(鼻腔通気度計)
スパイロメーター(鼻腔通気度計)とは、呼吸機能を検査する医療機器で、一般的には気管支喘息や肺気腫など、肺の呼吸機能の検査に用いられています。
現状、肺の働きを調べるのには肺機能検査がありますが、検査機器のメーカーさんに聞くと耳鼻科でも肺機能検査の機器を持っているのは10件に2~3件とのことです。
当院では、出来るだけ正確にわかりやすく口腔機能を患者さんに説明するために、このスパイロメーターを導入しています。
例えば口呼吸は、いびきや睡眠時無呼吸と関係がありますが、むし歯や歯周病のリスクにも繋がっています。鼻腔通気度検査をすることによって、その日の機能を数字で表す事が出来るので、発育期のお子さんの具体的な顎顔面の発育評価に有効です。
現在の症状を聞き、既往歴と全身状態を診て、症状を抑えるために薬を投与することが多く、そこでどんな薬を投与されているかを知っている患者さんはいますが、肺活量がどれくらいあれば正常であるのか、1秒量は1秒率という言葉がどういう意味をもつのかを知っている患者さんは少ないようです。
一般の人も肺の健康な状態や病気の程度を知ってもらうために、日本呼吸器学会では肺機能検査の普及を促進しているそうです。
お口と歯の健康な状態を知ってもらい、90歳になっても楽しく食事をしていただき末永く健康で充実した人生を送っていただくため、また、地域のお子さんの元気な未来のために活用していきます。
顎顔面矯正治療について↓