口の中のできもの
お口の中は、実はとてもデリケート。ちょっとした刺激で口内炎になってしまうこともあります。
ですが、お口の中に出来るデキモノは口内炎ばかりではありません。歯のトラブルや、身体の病気のサインを送っていることもあるのです。
もし頻繁に再発したり、数日たっても改善しないような場合は、一度しっかりと検査してもらいましょう。
口の中のデキモノの種類
口の中のできものは、専門医による正確な審査診断が必要です。良性のものか悪性のものかをしっかりと見極め、適切な処置をすることが重要です。
フィステル
虫歯などで神経が死んでしまったり、不適切な根の治療により神経の管が感染をおこしてしまった場合、骨が炎症を起こして根の先に膿の袋ができ、膿が溜まることがあります。
その膿の袋は、小さなうちは歯茎の中に滞在していますが、大きくなると歯茎の中に納まりきれなくなり、膿を外に排出しようとします。その膿が歯茎から出てくるための穴が、フィステルと呼ばれるものです。
フィステルは歯茎に現れる「おでき」のようなもので、指で押すと白っぽい膿が出ることがあります。フィステルが現れるという事は、その部分の歯が何かしらの炎症を起こしているという事ですので、早めに処置をしてあげる必要があります。
患者様の中には、「もう少し経過みます」「寝たらよくなった」とおっしゃる方がいらっしゃるのですが、それは決してよくなってるのではなくて、体の抵抗力によって症状を抑えているだけなので、治っているわけではありません。
そのままの状態を放置すると最悪、抜歯をしなえればけなくなってしまう場合もありますので、 まずは早めに歯医者に行ってレントゲンを撮ってもらう事をおすすめします。
さまざまなフィステルの例
骨隆起
骨隆起とは顎の骨にできる、いわゆる「骨の膨らみ」です。骨隆起そのものは触ると固く、歯ぐきも薄くなっているため、表面に物が当たると強く痛みます。「歯ぎしり」や「食いしばり」の強い方に多く見られます。
骨隆起についての豆知識
国内の人々を対象に縄文時代から現代までの間、下顎隆起(かがくりゅうき)の出現頻度が時代と共にどのように変化したかを調査した論文があります。
※下顎隆起:下顎骨の小臼歯部の舌側の骨の表面が、一部分で境がはっきりと半球状に盛り上がる症状
下顎隆起の出現頻度は、弥生時代から近代までは低い頻度、縄文時代人と現代人において高い頻度であらわれ発達しています。弥生時代に下顎隆起の出現頻度が低下したのは、渡来人が遺伝的に下顎隆起の出現しにくい人々であったと解釈することができます。
このことから、下顎隆起の出現に遺伝性があるということが推測できます。そして、隆起についてはこの100年ほどの現代において特に顕著で、現代の日本人の半数以上にあると言われています。現代の日本人の若い世代では発症しても小型で痛みもなく、その存在自体に気づかない一方で、加齢と共に徐々に大きくなり発症が自覚されるケースが多くあります。
※下顎隆起の出現は基本的に日常生活に支障はありません。
近・現代人について下顎隆起の出現頻度の年齢を調べた結果、下顎隆起は12歳以降で発現し、その後20歳代まで発現頻度は増加します。その後は、年を取れば取るほど下顎隆起は発達していきます。
骨隆起の種類
1.下顎の内側にできる下顎隆起
下顎隆起とは下顎の内側に、多くの場合、左右対称に見られます。
大きくなってくると舌が上に持ち上げられ、発音がしにくくなります。また、骨隆起の粘膜は薄いため、入れ歯を使っていると、擦れたり痛みの原因になったりします。このような場合は切除します。
2.上顎の真ん中にできる口蓋隆起(こうがいりゅうき)
口蓋隆起は上顎の真ん中よりやや後方あたりにできる骨の膨らみです。上顎は左右の骨と骨が繋がってできているため、噛む時の力がつなぎ目に集中し、骨隆起ができます。
総入れ歯を作るときは、大きな口蓋隆起の場合には切除処置をすることをおすすめします。
骨隆起の切除術
当医院では局所麻酔をしたうえで手術を行います。また、「ピエゾサージェリー」と「骨ノミ」を併用することで、短時間に痛みも少なく処置をすることができます。
CTで骨隆起の大きさや位置を確認しながら安全に行いますが、骨を削りますので少々腫れることがあります。
当医院では術後にシーネ(マウスピース)を使います。食事の時にしばらくの間は不便ですが、およそ一週間前後で抜糸します。
●治療経過
【矯正治療前】
矯正開始前に下顎骨隆起除去をしました。
【半年後】
【一年後】
矯正治療で歯列弓をふっくら拡大したことと併せて、舌を上にあげるのが楽になった。
骨隆起切除の症例
正中菱形舌炎
正中菱形舌炎は、発症原因が分からない病気で、舌背部正中後方の3分の1部分に、菱形・楕円形の乳頭がなく赤い平滑な部分ができます。
炎症が悪化してしまうと、腫脹・発熱・痛みを感じることがあり、乳頭が無くなってしまうことがあります。
この場合には、ガンジダが原因の可能性がある場合には抗真菌薬を使用して治療をする場合があります。
正中菱形舌炎の原因は何かというと、今の所は分かっていませんが原因だといわれているものはビタミンの不足やアレスギーや喫煙などがあります。
義歯性カンジタ
義歯性カンジタは、義歯による継続的な粘膜面への圧迫や摩擦が作用すると、 その部分に循環障害や上皮の剥離(はくり:はがれること)を生じ、最終的には潰瘍が発生します。
義歯装着者では、義歯の内面にプラーク(歯垢)が増殖し、その中のカンジダなどの刺激で義歯性口内炎が起きやすくなります。
これを予防するには、義歯にプラークを付着させず清潔に保つことが大切です。
また、義歯洗浄は、食後に流水下でブラシを用いて清掃すること、義歯洗浄剤等も併用することが大切です。
口腔ガン
口腔ガンとは口の中や、その周辺組織にできる癌のことです。
口腔ガンは、できる部位によって「舌ガン」・「歯肉ガン」・「口腔底ガン」・「頬粘膜ガン」・「口蓋ガン」・「口唇ガン」の6種類に分類されますが、その形状はさまざまです。
放置してしまうとどんどん進行し、手遅れになってしまう場合もありますので、早期発見、早期治療が非常に大切です。
お口の中の粘膜に異常を感じたら、放置せずに主治医の先生に相談して適切に対応して頂きましょう。